十勝の土と、生産者の思いが育む根菜類
三井農場/三井彰浩さん
北海道本別町で100年以上続く三井農場。豆の町として知られるこの地で、ゴボウと大根の栽培を受け継ぎ、家族とともに試行錯誤を重ねてきました。地元の学校給食やキッチンカーを通じて、形にとらわれない野菜の魅力を伝える三井農場の取り組みには、作り手の情熱と地域への深い愛情が詰まっています。
豆の町で受け継ぐ、ゴボウと大根への思い
日本一の豆の町を掲げる本別町。この地で100年以上続く三井農場は、豆に加えてゴボウと大根を栽培し続けています。昭和60年頃、十勝では多くの農場が新たな作物の栽培を試み、ゴボウや大根の栽培を始めたそう。しかし、ゴボウの収穫は豆の収穫時期と重なり、大根の収穫は早朝に1本1本手作業で行う重労働のため、ほかの農場は次々に栽培をやめていったといいます。そんな中、三井農場は「ゴボウも大根も食べることが好き」という純粋な思いで収穫を続けてきました。
三井農場が野菜を育てている土壌は、河川から運ばれて堆積しているため有機物が含まれています。「土が良いので、特別なことは何もしていません」と三井さんは話しますが、新たな農作物に取り組むのは決して簡単なことではありません。家族で試行錯誤を繰り返し、現在の栽培方法に辿り着いたのです。
「地元の人に、地元の食材を食べてもらいたい」という三井さんの思いから、10年ほど前から本別町内の給食で三井農場のゴボウを提供するようになりました。「形が悪く、小さくて売れない野菜もおいしく食べてもらいたいし、おいしいと思ったら野菜を買って調理してみてほしい」とキッチンカー営業を始めた4代目の彰浩さん。
野菜を買って食べるということは、野菜を作る人たちの思いを受け取るということ。調理加工された野菜を口に運ぶ機会が増えた今、自分たちで丁寧に調理して、そのおいしさを味わうことの大切さを伝えています。
三井農場
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中川郡本別町西仙美里11-6
TEL:0156-24-9177
1 ゴボウ畑の中に立つ三井彰浩さん。蕗のような大きな葉っぱがワサワサと生い茂り、1粒の種から1本のゴボウができます。
2 三井農場が大根を提供している、幕別町「とかちの八百屋おもや」のおもやの気まぐれ弁当。
3 ピンク色の紅芯大根や緑色のビタミン大根など、色とりどりな大根を手で収穫しています。
4 種まきを終え、芽が出始めた大根畑。8月上旬ごろ、小麦の収穫後に同じ畑で大根の栽培が始まります。