十勝農業ストーリー

時間と愛情をかけて育てる、ほっくり甘い冬の味覚

山西農園/山西心豪さん

帯広市大平町にある山西農園では、手間ひまをかけて育てた「白銀(しろがね)」という品種のゆり根を栽培しています。4~5年を要する栽培工程や病害虫への弱さなど、ゆり根づくりは繊細で根気のいる作業。農薬は最小限に抑え、堆肥を活用した土作りで、安心して食べられる品質を追求しています。



手間を惜しまず、家族と共にゆり根を育てて

ゆり根の生産量日本一を誇る北海道。ホクホクとした食感と優しい甘みは、まさに冬を代表する味覚です。高級食材という印象もありますが、茶わん蒸しやスイーツの具材として家庭で楽しめるのも、産地ならではの魅力でしょう。

なかでも「白銀」という品種を育てるのは、更別村の山西農園。父・母・そして2代目の心豪(しんご)さんの3人で、ゆり根をはじめ観賞用のカサブランカやアスパラなどを栽培しています。研究熱心な父のもとで学んだ技術と、「土作りを考えながら、安心なものを届けたい」という思いが、しっかりと次の世代に受け継がれています。

ゆり根の栽培には、小指ほどのタネ球を植えてから収穫できるまでに4~5年。鱗片(りんぺん)を1枚ずつはがして植え、毎年別の畑で育てるという工程を繰り返して、ようやく大きな球になります。しかも病害虫に弱く、傷も付きやすいため、作業はすべて丁寧な手作業。その手間と時間を思えば、価格が高くなるのも当然といえるでしょう。

それでも山西さん親子は「もっと気軽に食べてもらいたい」と願っています。そのためにも、栽培方法にはとことんこだわります。球根に薬品を使わず、畑の表面にごく少量の農薬を使うのみ。さらに米ぬかや鶏ふん、近くの牧場からもらう堆肥を活用した土作りで、健康なゆり根を育てています。

加熱するとホクホクとした食感になり、でんぷん質が多く、優しい甘さが広がるゆり根。ビタミンやミネラル、食物繊維を含み、特にカリウムが豊富で高血圧やむくみの予防にも注目されています。じゃがいもと同じような調理法で手軽に取り入れられるのも魅力です。

根気と手間の結晶であるゆり根。山西農園のゆり根づくりには、長い時間と家族の思いが詰まっています。

山西農園
帯広市太平町西7線144番地
0155-60-2370
  • 1 ゆり根を贅沢に素揚げに。ほくほくとした甘さが広がる。
    2 8月下旬のゆり根畑。地中では、ゆり根が少しずつ生長している。
    3 ゆり根は2L~3Lに分類される。食べ応え十分の大きさ。
    4 病気の葉がないかのチェック中。見つけたら即、畑の外へ。

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