ゆっくり、じっくり。放牧で育つおいしさ
株式会社雪あかり/白石かすみさん
鹿追町の郊外のログハウスで田舎料理のバイキングを提供するレストランを営む「大草原の小さな家」。創業者の中野健治さんは、レストランで自ら育てた野菜や地元の山菜だけではなく、「肉も自家製で作りたい」と考え、2008年頃から放牧で豚を飼い始めました。当初は白豚中心でしたが、5年ほど前からは黒豚を主力として養豚を営んでいます。
のびのび育った黒豚が、今日もおいしい理由
通常は半年ほどで出荷できるところ、あえて2倍の1年をかけた長期肥育を実施。放牧で飼育しているため成長速度はゆっくりですが、その分しっとりときめ細かい肉質に仕上がるそうです。「レストランのシェフからは『イノシシのような野性味のある肉』と評価されますね」と話すのは、中野さんの娘の白石かすみさん。黒豚の人気は徐々に高まり、道外の飲食店にも卸すようになりました。
十勝放牧黒豚の特徴は与えている餌にあります。放牧地の近隣は農業が盛んで、農家や農協から規格外の小麦、長いもなどを安価で手に入れることができるのです。野菜だけでは栄養が不足するため、配合飼料も少し混ぜますが、基本的には十勝の野菜がメイン。「なるべく地元の餌を使って、十勝でしか出せない味の豚を生産したい」と白石さん。そもそも豚は固いものが苦手で、水分のある野菜は大好物。秋になるとかぼちゃを与えることもあり、喜んで食べるそうです。
放牧の難点は人の手がかかること。豚は夏場の暑さに弱く、昨年猛暑となった時期にはホースで水をかけ続けて暑さをしのぎました。放牧地は広く、水をかけるのもひと苦労です。一方で病気はほとんど発生せず、健康に育ってくれるという利点があります。自らの足で走り回るので筋肉がつき、ほど良い噛みごたえにもつながっています。
そんな黒豚のウデ肉ともも肉を使って作るソーセージをいただきました。フライパンでじっくり炙り、プリッと焼けたソーセージのおいしさといったら…!のびのびと育てられたからこその野性的な味わいに、やみつきになってしまいそうです。
株式会社雪あかり
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河東郡鹿追町笹川北8-10
0156-66-3184
https://yukiakari-tokachi.com/
1 品種は純血のバークシャー種。
2 雪あかり自慢のソーセージ。炭火やフライパンで焼くだけでなく、トマトソースで煮込んでもおいしい。
3 代表の中野さんの娘である白石さん(写真左)。10年ほど前にUターンし、雪あかりの加工品の発注や販売、事務などを担っている。
4 長いもは地元農家から無料で提供してもらっていて、豚たちも大好き。まるごと1本をかじったり、土に埋めておいて熟成させてから食べる豚も。