独自の付加価値を高めたい、 確固たる信念と目的を持って
源ファーム/大美浪源さん
基本に忠実に、シンプルに。
「美味しさ」と「経済的安定」を軸に豚を研究し続ける、大美浪源さんの終わりなき挑戦の道。
加工品作りとの出会い
大樹町が道内で最も豚の飼育頭数が多かった時代。ほとんどの農家が自宅で豚を飼い、その排泄物を肥料として畑を耕していました。ホエー豚や生ハムで広く知られている源ファームのオーナー、大美浪源さんもそうした農家のひとつでした。
時代の流れとともに豚を飼う農家が減少していく中、飼育頭数400頭程の小規模な農場を経営していた大美浪さんが「豚の加工品を作ろう」と思ったのは、昭和56年の出来事がきっかけでした。「小規模でやっていくっていうのが、一番難しいんだよね」。小規模経営に限界を感じていた当時の大美浪さんに、ホクレンで働いていた知人が「加工用豚肉の事業をやるから、実験農場として参加しないか」という話を持ち掛けてきたのです。それまで加工品作りには興味がなかった大美浪さんですが、知人の熱心な誘いに半ば折れる形で事業に参加。これが、源ファームの今日につながる大きな挑戦の第一歩となりました。月に2回、札幌のソーセージ工場に勉強のために通うようになった大美浪さん。そこで初めてハムやソーセージがどんな風に作られているかを知ることになります。「付加価値を付けて、知名度を上げていくことが必要かもしれない」。その経験を通して、加工品に対する意識が変わっていきます。何もかも初めてづくしの経験を経て、大美浪さんの中で、「加工」という付加価値を作り出すことに対するスイッチが入るのはこの時期のことだったに違いありません。
実験農場は色よい結果を出せないまま平成元年で終了の時を迎えましたが、「その時の経験が今でも生きている。できるだけ基本に忠実に、シンプルにものを作ることがどれだけ大切かを知った」と、大美浪さんは当時を懐かしむように笑います。得た知識と経験を元に本格的に加工品作りに着手した大美浪さん。次なる挑戦はケンボロー種の導入でした。
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1 源ファーム外観。
2 源ファームで飼育されているケンボロー種。源ファームでは生後35〜90日の間に110リットルのホエーを与えて育てます。
3 大美浪 源(おおみなみ はじめ)さん
「豚の加工品を作りたい」と思い続けて30年。豚に懸ける熱い想いが、体の端々からにじみ出ています。妻と二人の娘、娘婿、孫たちに囲まれながら源ファームを経営。