十勝農業ストーリー

十勝の小豆の美味しさを多くの人に伝えたい

株式会社 A-Netファーム十勝 森田農場/森田里絵さん

森田農場は大正時代から続く畑作農家。
長崎生まれ、横浜育ちの里絵さんが、森田家に嫁いだのは8年前のこと。「小豆の美味しさに衝撃をうけた」と里絵さんは語ります。森田農場で育てている小豆は皮が柔らかく大粒の「きたろまん」。その小豆を畑を休めながらの5年輪作体制で作っています。同じほ場で同じ作物を繰り返し栽培すると、病害虫が多発して生育を妨げたり、多くの薬剤を必要としてしまうからです。

種をまくのは、5月20日頃、「カッコーが鳴いたら」なのだそうです。「種をそろそろ蒔こうかという話をしていたら、おじいちゃんがカッコーがまだ鳴いてないからだめだって」と可笑しそうに笑う里絵さん。
鳴いたらすぐに種まきが始まります。こうして代々伝わる先人の知恵は、今でも大切にされています。

それから2週間ほどで発芽すると、ホー除草が始まります。延々続く小豆畑を「ホー」という長い柄に三角の鍬がついた道具を持ってひたすら手作業。芽を中心にして三角形に除草していきます。それから1ヶ月後に花が咲き、実がなり始める8月のお盆過ぎまで、畑の中には入れません。
受粉に大忙しの虫たちの出番です。お盆を過ぎると、十勝は秋に向けて急激に気温が下がっていきます。実は、この寒暖の差こそ十勝の優良な豆を育てている所以だと言われているのです。

小豆は本来寒さに弱い作物。自らの身を守るために、ぎゅっと養分を蓄え生きようとするのだそう。「これ以上寒くても暖かくてもだめ。しかも十勝の中では山にも近く寒さのぎりぎりのラインに位置するのが清水町だと思います」と里絵さん。山が近く、火山灰土であることも、小豆には適しているようです。

十分に成熟した豆はそのまま畑で自然乾燥させています。この頃に吹く冷涼な秋風も重要なポイント。その後10月に行われる脱穀へと続いていきます。こうして出来た豆を自社ブランドとしてインターネット販売を始めたのは平成 17年から。今では全国から注文が来るようになりました。始めた頃はまわりからの反対の声などもありましたが、里絵さんの思惑通り、消費者のニーズは確かに存在していたのです。

  • 5 香り焙煎と和み焙煎の2種類がある「黒豆茶」。茶さじ一杯分をカップに入れ、お湯を注いで2,3分待てば出来上がり。煮出した後の豆も美味。

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