十勝農業ストーリー

土に向き合うことで中藪さんが手にしたもの

有限会社 中藪農園/中藪俊彦さん

しかし、美味しい生産物を消費者に届けるためにはまだまだ超えなければいけない高いハードルがありました。「売り先がなくて、泣く泣くでんぷん用にと大量に出したこともありました」。種子馬鈴しょ農家をやめて間もない頃にでんぷん用にと出した馬鈴しょの量は40〜60トンにも達したそうです。法人にしていたとは言え、個人の力で売り先を確保するには想像以上の困難が伴ったのです。友人を頼って上京し、友人宅に寝泊まりしながら小売店を1軒ずつ訪問して売り込んで回ったのは、子どもたちがまだ小さくて小学生と中学生だった頃のことでした。やがて努力は実を結び始めます。最後の最後に訪ねた豆腐屋の社長さんが「それなら」と中藪さんの豆を買ってくれたのです。さらにはその豆を使って豆腐を作った工場長から連絡が入ります。「とんでもない大豆がある!」「うまい!」中藪さんにそう伝えるための電話でした。結局、最初10袋(300キロ)だった注文を一気に50袋に増やしてくれたのです。美味しい豆腐を作るとして、全国的にも名の知れ ている豆腐屋さんとの取り引きの始まりです。中藪さんは農作物を作ることに加え、売るための努力も継続することで、今では自分の畑で作った作物のほぼ全量を自分の手で売りさばけるまでになりました。

有限会社 中藪農園
帯広市上清川町基線151
TEL/FAX 0155-53-6100
http://www.nakayabu.com
  • 8,9 秋を迎えようとする頃、中藪農園さんの豆畑はきれいな薄茶色に色づき始めていました。
    10 豆の収穫が終わると今度はジャガイモやカボチャの収穫作業が待っています。中藪農園のカボチャは「こふき」という品種。普通のカボチャに比べて実の部分が3割ほど厚く、実が締まっていて、調理すると栗のようにホクホクした仕上がりに。

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