十勝農業ストーリー

青空の下でのびのびと、悔いのない経営を

有限会社 十勝しんむら牧場/新村浩隆さん

本当に必要なことは何なのか。
原点回帰できるのが一次産業

社会情勢に左右されない経営をするため新村さんがまず初めに行ったのが、牛の飼育方法を放牧に切り替えることでした。放牧することで牛たちは刈り取った牧草よりも栄養価の高い牧草を食べることができ、それが輸入穀物飼料を減らすことにつながります。さらに今まで機械で行なっていたふん尿の処理や餌やりの作業が減ることで、化石燃料の使用量も減少。もちろん放牧をすることで、牧場の雰囲気やイメージまでもが良くなることは言うまでもありません。

こう書いていると、放牧をするといい事ばかりが起こるような、そんな気がしてきます。でも、いいことばかりなら、牛舎で牛を飼う農家はいなくなるはず。そう、放牧をするにはそれなりの勇気と覚悟がいるのです。「牛が健康に育つ牧草を育てるには土台がしっかりしていないといけません。土台作りにはお金と時間がかかります」。新村さんは18年前から放牧酪農に移行し始め、その時から毎年ニュージーランドの土壌コンサルタントを呼び、牧場の土を分析してもらいながら土壌改良に取り組んできました。放牧するに当たっての親との衝突の大きさも半端ではなかったようです。「親を説得できないことは、お客様にも伝わらない」。新村さんは親を説得しては、一歩ずつ行動に移してきたと語ります。

こだわって美味しいものを作ることは使命だと話す新村さん。看板商品であるミルクジャムは、原料である生乳本来の風味や味わいが伝わってくる逸品です。「加工品としてアイスやチーズを作るのは、他でもいろいろやっているし厳しいだろうと思っていました。だからといって加工や販売の経験があるわけでもないし。だったら何でもいいからやってみようと思って…。ケーキやバター、いろんなものを試してみた中で、ミルクジャムに落ち着きました。ミルクジャムはフランスでは一般的なもので、国産で作ったのはうちが初めてなんですよ」と、新村さんは嬉しそうに話します。

  • 5 牧場の敷地内にあるカフェ「クリームテラス」。はるばる牧場まで足を運ぶこと自体が、すでに価値。生産現場を訪れることで商品の理解度がさらに深まります。
    6,7「ワッフル」と「スコーン」はカフェの人気メニュー。ミルクジャムをつけて召し上がれ。

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